ぼくは台湾にいた頃から、日本の子どもたちと同じようにマンガ少年でした。
というのも、毎週木曜日(だったと思います)に少年サンデーと少年マガジンが届いていたからです。きっと母が日本から取り寄せてくれていたんだと思います。マンガが届く日は、学校の授業中からワクワクして、早く帰りたくて仕方なかった記憶があります。
届いた2冊のマンガ本は、天気が良ければ庭から日差しが入る大きなガラス戸のある洋間に置かれていました。
もちろん、掲載されているマンガはすべて隅から隅まで読みました。
「伊賀の影丸」
「おそ松くん」
「オバケのQ太郎」
「鉄人28号」
「紫電改のタカ」
「サブマリン707」
どれも大好きなマンガです。
その中でも、小沢さとるの「サブマリン707」は特別でした。
世界制覇を狙う悪の組織やムー帝国の潜水艦隊が敵として登場する、潜水艦が主役の海洋マンガです。
七つの海を舞台に、自衛隊の潜水艦「707号」がハイテク兵器を搭載した敵艦と水中戦を繰り広げるストーリーに夢中になりました。
広い海でのダイナミックな冒険と、潜水艦という究極のメカ。男子のワクワクを直撃する作品だったと思います。
乗組員の中には少年もいて、「707号」に搭載されている小型潜水艇「ジュニア」が重要な役割を果たすんです。今にして思えば、あれは本当に心憎い演出でした。
「サブマリン707」は、少年マンガの王道を行く傑作だと思います。
当時、ぼくはサブマリン707のプラモデルも持っていました。これがまた人気で、プラモの売れ行きとマンガの人気が相乗効果でさらに盛り上がった気がします。ストーリーに登場するメカがそのままキャラクター商品になったという点で、ビジネスとしても画期的だったのかもしれません。
そのプラモデルをよくいじって遊んだので、今でも細部を鮮明に思い出せます。
船底にある電池室には水が入らないようにゴムパッキンがついていて、念入りにグリスを塗ったりしました。
ただ、なぜか実際に水に浮かべて遊んだ記憶がありません。
大事にしすぎて水に入れられなかったのかもしれませんね。