ヒコーキ提灯

まだ残っているのでしょうか。
あのヒコーキ型の提灯は。

台湾のお祭りでは、子どもたちが提灯を引いて歩きます。
ぼくも、竹の骨組みに色あざやかなセロファンを張ったヒコーキ型の提灯を買ってもらいました。
提灯は木と竹ひごでできた枠に、赤・青・黄色といった原色系のセロファンが貼られていて、中にローソクを灯すとその色がやわらかく浮かび上がります。
でも、夜になると当時の台湾は街灯が少なく、闇のほうがはるかに強くて、提灯の明かりなんて本当に心もとないほどの明るさでした。

その提灯は、木の車輪がついた台車に載っていて、細い紐を引っ張ってカタカタと転がせるようになっていました。
ぼくと弟がそれぞれの提灯を引いて、家族で夜道を歩いた記憶があります。
いろんな形の提灯があったと思いますが、ぼくはこのヒコーキ型が気に入って、祭りが終わってもずっと持っていました。
ヒコーキの形をしているので、凧みたいに糸で引っ張ったり、投げて飛ぶかなと試したり、かなり乱暴に遊んでいましたが、意外と壊れなかったんです。

当時は、このお祭りは中秋節だと思っていました。月に見立てた卵の黄身が入った月餅が売られる時期だったからです。
でも調べてみると、全然違いました。旧正月の「元宵節」というお祭りだったようです。
記事によれば、塔に幽閉されたお姫様が登場するディズニー映画のワンシーンのように、ランタンを空に大量に飛ばす地域もあるそうです。

ぼくが住んでいたのは台北なので、実際に空に浮かぶランタンは見たことがありませんが、きっと壮観で幻想的な光景なんでしょうね。
機会を作って、ぜひ見に行きたいと思っています。