追憶画報

思い出というのは、ただの記憶の断片ではなく、自分という存在をかたちづくる重要な要素のひとつです。
普段の生活の中ではすっかり意識の底に沈んでしまっている出来事も、ふとしたきっかけで掘り起こすと、過去のシーンが生々しく蘇ってきます。

例えば、幼い頃に見た光景やさわった感触、匂いの記憶が、思わぬタイミングでパッと鮮やかによみがえることがあります。すると、当時の空気感や感情、そしてその時の自分の小さな心の動きまでもが、芋づる式に引っ張り出されるようにして現れるのです。
ときには、忘れていたはずの情景の中に、妙にリアルでビビッドな映像の断片が残っていることに驚くこともあります。それはまるで、自分の網膜にこっそり保存されていた小さなフィルムが再生されるような感覚です。

こうして掘り起こされた記憶や感覚を絵にすると、さらに新しい発見や感情が広がっていきます。自分だけの超個人的な内面世界が、絵というかたちで外に現れ、時間を越えてもう一度味わえるような気がするのです。
そんな遊び心も込めて、私はこの記憶の絵日記を「追憶画報」と名づけ、楽しみながら描いています。