Wロクハン挽歌

Wロクハンとは、昔乗っていたバイク「W650」のことだ。
クラシカルでどこか武骨なフォルム、重厚なエンジン音、低速でトコトコと走るときの鼓動感――あの感覚は、今でも身体のどこかに染みついている。

当時は最盛期で、W650を含めて4台のバイクを所有していた。通勤に便利な軽快なバイク、ロングツーリング用に安定感のある大型、休日の街乗りや気分転換用に遊び心のあるタイプ……それぞれに役割があって、行き先や気分だけでなく、天気や時間帯まで考慮して「今日はどれに乗ろうか」と決めるのが日課だった。

しかし、生活や環境が変わり、少しずつ乗る機会が減り、結局はすべて手放すことになった。売ると決めたときは、「もう仕方ない」と言い聞かせていたが、今になって思うと、あの頃のバイク達が放っていた存在感や、クルマとはまったく違う搭乗感は、確かに自分の生活の一部だった。バイクがなくなった今、その静けさが妙に寂しく思える。

そのせいか、バイクはよく夢に出てくる。夢の中で出先に乗って行ったバイクのキーが、なぜか見つからない。キーを探して焦っているうちに夢が終わり、目が覚める。起きた瞬間、「ああ、そもそももうバイクはないんだった」と気づき、少しがっかりする。まるで過去の記憶が、夢を通して「またあの時間に戻りたいだろう?」と囁いてくるようだ。

今でもときどき、「あの鼓動をもう一度感じたい」と思うことがある。
W650はただのバイクではなく、あの頃の自分を象徴する存在だったのだと思う。


さて、実はこの絵は、ChatGPTで生成した画像に、色付けした、いわば塗り絵。
だけども、もともとは自画像でもある、この手描きキャラクター。

ChatGPTに組み込まれている画像生成AIのDALL·Eは、手描きキャラの一貫性がどのくらい出せるのか、手描きっぽい雰囲気がどこまで再現できるのか試したくて、上の画像をChatGPTにアップした。
そして「このキャラクターが走ってる絵を描いて」とお願いしてみた。

で生成されたのがこの画像。
次に、別の要素を入れた状態での一貫性を見るため
「このキャラクターがバイクを運転している絵を描いて」と注文を出した。


見ての通り、結果自体は悪くないし安定しているんだけど、線がどうにも単調でメリハリが薄く、
全体の描き込みが均一すぎて、ちょっと説明的で「カチッとした機械仕上げ」みたいな印象になってしまう。
もう少し線の強弱や“抜け感”があればいいのに、と思わずにはいられない。
やっぱり手描き特有のゆらぎや、偶然生まれるニュアンスが足りないから、つい「もっと味付けしたい」と手を加えたくなるんだよね。

そこで、この絵をProcreateに取り込み、油絵風のタッチやかすれを意識的に足して、
さらにエンジンやマフラーのパーツを少しいじりながら、昔乗っていたバイクの雰囲気に寄せてみた。
トップに載せたのがその絵なんだけど、まるでレトルト食品に肉や野菜、スパイスをちょい足しして、
自分好みの味にカスタムしていく感覚に近い。

“AIの出力”というベースを、自分の手で描き直していくことで、はっきりと「これは自分の絵だ」と感じられる瞬間がある。この絵のように「おもいで」なんかが乗ってくれば尚更没入できる。
そこに面白さや手応えがあるんだよね。